2020.12.02

気になる日やけ対策は?正しい予防とアフターケアを心がけましょう

ドクターズコラム

紫外線がお肌の大敵ということは、もはや誰でも理解していることだと思います。だからこそ日やけ対策は、季節を問わずスキンケアの基本中の基本として心がけるべきこと。輝く素肌を守るために、日やけ対策について正しい知識をつけていきましょう。


日やけ予防の大きなポイント

紫外線対策の基本は、日やけ止めを正しく使うこと。さらに便利なUVケアグッズがいろいろ出ていますので、上手に利用するようにしましょう。

紫外線の恐ろしさとは

まず、基本対策としては日やけ止めを塗ること。これは、季節を問わず1年を通じて習慣にしてください。ここで、紫外線についておさらいしてみましょう。

紫外線は、波長の長さによってA波(UVA)、B波(UVB)、C波(UVC)に分けられます。このうちC波はオゾン層に吸収されて地表には届かないため、私たちの肌に影響をもたらすのはA波とB波の2つです。

紫外線の種類についてのイメージイラスト

図のように、A波は波長が長く肌の真皮にまで届き、肌の弾力をうばってシワやたるみの原因にもなってしまいます。一方B波は表皮にダメージを与えて赤い炎症を起こしたり、メラニン色素の沈着をもたらすだけでなく、皮膚がんのリスクにもなることが分かっています。

B波は冬になると夏の20%ぐらいまで減少しますが、A波は冬でも夏の50%程度はふりそそいでいます。年間を通じてケアが必要ということです。

日やけ止めを正しく使おう

日やけ止めに記載してあるSPFやPAの意味は正しく理解していますか?

SPFとはSun Protection Factorの略。日やけによって起こる炎症(サンバーン)の防止効果の程度を表しています。数字が大きくなるほど防止効果が高くなっていて、最高値は50、それ以上のものは50+と表記されています。
PAはProtection grade of UVAの略。A波の防止効果の程度を表しており、+、++、+++、++++の4種類で、+が多いほど防止効果が高くなっています。

生活スタイルや天候、行動によって適正なSPFやPAの数値は変わってきます。下図を参考にして使い分けてくださいね。

■生活シーンによる日やけ止め化粧品の選び方

紫外線の防止効果およびアクティビティのイラスト

日やけ止めにはリキッド(液状)、乳液タイプ、クリームタイプなどさまざまなものがあり、顔に使う場合、一般的にクリームタイプのものはパール2粒分、リキッド状のものだと一円玉2つ分ぐらいが適量とされていますが、製品により成分比などは個々に違ってきますので、必ず説明書を読んで正しい量を使用するようにしてください。
また、顔だけでなく首まわりやデコルテ部分も忘れずに塗るようにしましょう。

最近はヘアにも使用できる日やけ止めスプレーが出ていますので用途に合わせて選ぶようにしましょう。

UVカット効果のあるグッズを使う

■つば付きの帽子
髪も肌と同じように紫外線ダメージを受けるので帽子は有効な対策です。さらに顔にあたる紫外線をブロックできるよう、つばの広い帽子を選ぶのがよいでしょう。布製のおりたためるタイプなどは、通勤などの場面でもバッグに入れられて便利ですよね。コーディネートを楽しみながら、おしゃれに紫外線対策してください。

■日傘
酷暑が続く昨今は男性の利用者も増えてきた日傘。機能で選ぶのならばUVカット率の高い素材や色を選ぶとよいでしょう。

■UVカット機能付きのカーディガン
各ファッションブランドからいろいろなデザインのものが出ています。夏だけでなく春や秋にも紫外線はふりそそぎますので、ぜひ活用してください。紫外線対策だけでなく、抗菌防臭や吸汗速乾、接触冷感効果などが備わっているタイプもあります。

■アームカバー
カーディガンなどより手軽に使えるのがアームカバーです。意外に焼けやすい手の甲までカバーするデザインのものもあり、車や自転車を運転して日傘がさせないときなどに便利です。また、コンパクトに畳んで持ち歩けるので、屋外に出るときにつけ、屋内に入るときにはさっと取り外せる利便性も魅力です。

■サングラス
紫外線は肌だけではなく目にダメージを及ぼすことも知られています。急性の紫外線角膜炎や慢性の翼状片、白内障の原因にもなるのです。そこで、特に紫外線が強い時期、時間帯などはUVカット効果のあるサングラスで防ぐことが有効です。シミが気になる目回りの皮膚も紫外線から守ることができます。

UVカット効果のあるグッズを使った女性のイメージイラスト


生活習慣の改善で日やけダメージからカラダを守ろう!

紫外線ダメージを少しでも減らすには、体の内側からのケアも大切です。食事や睡眠など、心がけるべきポイントを確認しましょう。

抗酸化作用のある食材を摂取

紫外線をあびると、体の中で活性酸素が発生します。酸化した皮膚細胞はメラニン色素を誘発し、シミの原因に結びついてしまいます。そこで食事に取り入れたいのは、抗酸化力のある食材。
以下、いくつか例をあげますので意識して取り入れてみてくださいね。

■リコピン
とても強い抗酸化作用があり、紫外線ダメージ対策にはぜひ取り入れたい成分。油分と一緒に摂ると、より吸収力があがります。
リコピンを多く含む食材:トマト、ニンジン、ケチャップなど

■ビタミンC
シミの原因であるメラニンを還元させる作用と、メラニンの生成を抑える作用を持ちます。
ビタミンCを多く含む食材:ブロッコリー、ピーマン、イチゴ、レモンなど

■ビタミンE
抗酸化作用のほか血行促進の作用も持ち、アンチエイジングには欠かせない成分。
ビタミンEを多く含む食材:アーモンドなどナッツ類、アボカド、カボチャなど

■ビタミンA
抗酸化作用のほか免疫力アップの働きもある油溶性ビタミン。皮膚や粘膜を健やかに保つ働きも担っています。
ビタミンAを多く含む食材:豚レバー、鶏レバー、ほうれん草、ニンジンなど

抗酸化作用のある食材の集合画像

睡眠時間はたっぷりと

睡眠時間が足りなかったり不規則だったりすると、肌のターンオーバーが正常に働かなくなり、健やかな代謝ができなくなることがあります。
すると、メラニンの排出がスムーズにおこなわれなくなり、シミやそばかすを誘発したり、日やけした肌の部分が表皮に残りやすくなったりしてしまいます。
質の高い睡眠によりターンオーバーの正常化を促すことで、健やかな肌状態を保つようにしましょう。

紫外線ケアは保湿も重視

日やけには美肌ケアだけでなく、保湿ケアも大切です。うるおいを失い乾燥気味になった肌は表皮のバリア機能が衰えてしまい、紫外線ダメージを受けやすくなってしまうのです。それにより、さらに乾燥がすすむという悪循環を繰り返してしまいます。
こういった状況にならないためには、保湿ケアをおこたらないこと。夏でも化粧水だけのケアでは乾燥しやすいので、乳液やクリームをつかって肌の水分を逃がさず保持するようにしましょう。


それでも焼けてしまったら?おすすめアフターケア

注意していたつもりだったのに、日やけしてしまった!
そんなときには、正しいスキンケアをしてダメージからお肌をレスキューしましょう。メラニンによる色素沈着は72時間でピークを迎えるため、日やけ後の3日間がアフターケアの勝負です。

日やけした顔で困った女性の画像

①まずは冷やす!そして鎮める!

日やけした肌は、軽い炎症を起こしている状態、つまりやけどをしている状態と同じなので、まずはすぐ冷やすことが大切です。流水で冷やすほか、濡れタオルや保冷剤などで冷やしてみてください。

ここで大事なのは摩擦を避けること。保冷剤を使う場合はタオルに巻くなどして刺激にならないよう心がけてくださいね。洗顔も優しくスピーディにすますようにしてください。

②たっぷり保湿

炎症が少しおさまったら、保湿ケアです。日やけした肌は角層から水分が失われている状態なので、乾燥によりダメージがますます進んでしまいがちです。敏感肌用などのできるだけ低刺激な化粧水をたっぷり補給してください。

コットンは刺激になることもあるので、手で優しく押さえるように顔全体に行き渡らせる方がよいでしょう。マッサージなども厳禁です。

化粧水のあとは、乳液やクリームなどでしっかり油分も補給するようにしましょう。
炎症で痛みも感じるような箇所は、無理に化粧水を使わずにワセリンなどで保護するようにしてください。

③落ち着いたら美白ケアを

日やけを改善したいあまりに、すぐに美白ケアをしたくなってしまうかもしれません。ですが、赤みやほてり、ピリピリ感などが完全にひいてから使用を開始するようにしてください。普段使っている美白成分でも炎症を起こしている場合は刺激になってしまうことがありますので、肌が改善してから使うようにしましょう。

美白ケアはメラニンの生成を抑えたり、肌の鎮静効果が期待できる成分を選ぶとよいでしょう。紫外線ダメージは蓄積されるので、最低1ヶ月ぐらいはアフターケアとして使い続けることをおすすめします。

紫外線を予防するノウハウと、もし日やけしてしまった場合のアフターケアについて説明してきました。紫外線のダメージは、あらゆる肌トラブルにつながります。正しく対処して、健やかな肌を守ってくださいね。

野本真由美先生プロフィール

野本真由美先生

野本真由美クリニック銀座院長。皮膚科専門医・漢方専門医・日本抗加齢医学会専門医・薬学博士。新潟と東京・銀座の自身のクリニックで診療を行うほか、ニキビ、漢方薬、スキンケアなどを中心に年間30回以上、医師向けの講演を全国で行う。新聞や雑誌などでも多数、寄稿中。体の中と外から皮膚を考え、総合的に治療することをモットーとする。

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