2020.09.16

肌あれの原因と改善のポイント。保湿スキンケアでうるおいのある肌に

ドクターズコラム

肌がカサカサしたり、赤みや毛穴の開きが気になったりなど、肌あれで悩んだことはありませんか? 「肌あれを早く改善したい」「自分に合うスキンケアを試したい」といろいろ調べている方もいるのではないでしょうか。 肌あれをすぐにでも治したいと、即効性のある対策を探したくなりますが、肌あれといってもさまざまな症状があり、原因も一つではありません。 大切なのは、どんな仕組みで肌あれが起きるのか、考えられる原因や肌をすこやかに保つための方法をよく知って、自分に合った改善策を探すことです。 ここでは、肌あれの症状と原因他、皮膚に備わったバリア機能や、肌あれ予防のための習慣、毎日のスキンケアについても紹介するので、参考にしてください。


肌あれによくみられる症状

乾燥してカサカサしていたり、湿疹や吹き出物ができたりなど、何らかのトラブルを抱えた状態を一般的には「肌あれ」といっています。
定義があるわけではなく、人によって、現れる症状も考えられる原因もさまざまです。

よくある肌あれの症状を以下に紹介しました。
症状は一つだけの場合もあれば、複数出る場合もあります。

・乾燥してカサカサする
・肌のピリピリ感・赤み・かゆみが出る
・毛穴が開いていてザラザラする
・ニキビ・吹き出物ができる
・湿疹が出る

なぜ肌あれが起きるのかについては、さまざまな原因が考えられます。
空気の乾燥や紫外線、摩擦など外的刺激が要因になることもあれば、ストレスや栄養、ホルモンバランスなど内的要因によるもの、あるいは両方が影響している場合もあります。


肌あれのないすこやかな肌とは

肌あれをどのように改善するかを紹介する前に、そもそも肌あれのないすこやかな肌とは、どのような肌のことを指すのでしょうか。人間の体には、もともとは皮膚を健康な状態に保つための「バリア機能」が備わっています。どのような仕組みなのか、詳しく解説していきます。

肌をすこやかに保つ「皮膚のバリア機能」

体全体を覆っている皮膚には、外からの刺激や細菌などから体を守り、肌をすこやかに保つ機能がもともと備わっています。

皮膚は、「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層に分かれており、一番外側にある「表皮」は、厚さ約0.2mmです。
「表皮」はさらに、「角層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4層に分かれています。

一番外側に位置する「角層」には、角層細胞がレンガ状に積み重なっています。
「角層」は、0.02mmという薄さながら、外界からの刺激をブロックし、体内の水分が失われるのを防ぐ重要な役割を担っています。この機能は、「皮膚のバリア機能」とも呼ばれ、この機能が正常に働かなくなると、肌が乾燥し、外部からの刺激を受けやすくなります。

また、肌が水分を蓄え、うるおいを保っていられるのは、「角層」に存在する3つの成分のおかげです。
1. 皮脂膜:水分が外に逃げないように肌の表面を覆っている油の膜です。
2. 天然保湿因子(NMF):角層細胞の中に存在するアミノ酸などの成分で、水分と結合してうるおいを保ちます。
3. 細胞間脂質:セラミド、コレステロール、脂肪酸などからなる脂質成分です。角層細胞と角層細胞の隙間を埋めるように存在し、「水分ー油分ー水分ー油分…」が層状に整列したラメラ構造を作り、皮膚のバリア機能を支えています。

3つの成分のイメージイラスト

皮膚には、すこやかさを保つために定期的に生まれ変わる仕組みも備わっています。肌の細胞が生まれ変わる新陳代謝の仕組みをターンオーバーと呼びます。

新しい細胞は、「表皮」の一番下にある「基底層」で分化して生まれます。その後、一番上にある「角層」まで徐々に押し上げられて行き、表面の皮膚細胞へと成長します。最終的には垢として剥がれ落ちますが、その後には新しい細胞がちゃんと控えています。
「基底層」から細胞が分裂して新しい細胞が生まれ、成長し、剥がれ落ちるまでの日数は45日程度です。ターンオーバーにより全ての細胞は生まれ変わります。

皮膚のバリア機能が正常に働き、ターンオーバーが正常に行われることで、すこやかな肌が保たれるのです。

肌のターンオーバーのイメージイラスト

バリア機能の低下が肌あれの原因に

肌を健康に保つために備わっている「皮膚のバリア機能」ですが、正常に働かなくなることがあります。それが、肌あれの原因となり、さまざまな症状となって現れます。

バリア機能が低下すると、肌の状態はどうなるのでしょうか。
「表皮」の一番上にある「角層」の状態が不安定になり、紫外線や乾燥、汗、摩擦など外からの刺激をブロックしにくくなります。同時に、体内の水分が外に逃げやすくなり、肌自体が乾燥し、肌の油分と水分のバランスが崩れてしまいます。

その結果、肌のカサつき、赤み、かゆみ、毛穴の開き、ニキビ・吹き出物など、さまざまな肌のトラブルが出現し、ひどくなると炎症や痛みなどが生じる場合もあります。


バリア機能はなぜ低下するの?

バリア機能が低下する要因については、さまざま考えられますが、ここでは、主に「ターンオーバーの乱れ」「ホルモンバランスの乱れ」「免疫力の低下」の観点から解説します。

ターンオーバーの乱れ

肌が定期的に生まれ変わるターンオーバーの仕組みですが、周期が乱れることでバリア機能を低下させる要因となります。

例えば、ターンオーバーの周期が短くなると、角層細胞が十分に育たず、未熟なまま表面に押し出される可能性があります。細胞が未熟だと、細胞の中で水分と結合してうるおいを保つ天然保湿因子の成分も少なくなり、細胞自体が乾燥してしまいます。
逆に、ターンオーバーの周期が長くなると、剥がれ落ちる機能が低下して、垢や古い角層細胞が表面にどんどん積み重なります。表面の凹凸は激しくなり、それが、くすみや乾燥など肌あれにつながってしまうのです。

ターンオーバーが乱れる原因としては、主に以下が考えられます。

生活習慣の乱れ
寝不足、運動不足、栄養バランスの崩れ、ビタミン不足、過食、便秘、過度のアルコール、ストレス、喫煙など生活習慣のさまざまな乱れがターンオーバーの乱れる原因になり得ます。

外的要因
紫外線による日やけ、乾燥、間違った洗顔方法などによる摩擦など、外気に直接さらされている肌は、環境のさまざまな影響を受けやすいといえます。

ターンオーバーが乱れた際のイメージイラスト

ホルモンバランスの乱れ

なめらかで、うるおいのある肌を保つためには、肌の水分と油分のバランスを取ることも大切です。
バランスが崩れる原因の一つに、ホルモンバランスの乱れがあります。

例えば、生理前は黄体ホルモンの量が多くなるため、皮脂の量が増えます。これが、毛穴の詰まりやニキビ・吹き出物など肌あれの原因となります。

女性ホルモンには、「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」の2種類があり、生理周期に合わせて分泌量が変化するため、それが肌や心、体に大きく影響を与えます。加齢によっても、ホルモン量は変化します。
すこやかな肌を保つためには、女性ホルモンの変化を考慮することも大切です。

免疫力の低下

人間には、細菌やウイルスなどの侵入から体を守る免疫システムが備わっていますが、免疫力の低下が、皮膚のバリア機能を低下させる要因になることもあります。
寝不足や栄養不足などで体調不良が起き、肌あれしやすくなったことはありませんか?
また、肌のバリア機能が低下すると、紫外線や雑菌、ホコリなどの刺激をブロックしにくくなるため、肌あれだけでなく、炎症などが起こる場合もあります。

肌あれの原因はさまざま

これまで紹介してきたように、肌あれが起こる原因はさまざまあり、一つだけでなく、複数の要因が関連している場合もあります。

最近では、マスク着用による摩擦や乾燥によって、ニキビ、かぶれ、湿疹などの肌あれに悩んでいるという声もよく聞きます。

また、普段使っているメイクやスキンケアなどの化粧品が、肌に合わないことで起きる肌あれもあるので、選ぶ際は自分の肌の状態をよく見極めることも必要です。


肌あれ予防に心がけたい習慣とは

肌あれの原因はさまざまありますが、予防するためには、生活習慣を見直すことも重要です。ここでは、「栄養」「運動」「睡眠」「保湿スキンケア」の観点から、ポイントを解説します。

栄養バランスのとれた食事

栄養バランスが崩れると、肌のターンオーバーなどの乱れにつながる可能性があります。以下に紹介した肌にいいとされる栄養素を参考にして、日頃から、栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。

皮膚の健康やホルモンバランスの調整に関わるビタミン類
・ビタミンA:うなぎ、レバー、卵、にんじん、ブロッコリー、ほうれん草、かぼちゃなど
・ビタミンB2:レバー、牛乳、卵、うなぎ、干ししいたけ、納豆、アーモンドなど
・ビタミンB6:かつお、まぐろ、レバー、バナナ、卵など
・ビタミンC:キウイ、いちご、柑橘類など果物、パプリカ、ブロッコリー、小松菜など
・ビタミンE:アボガド、アーモンド、植物油、うなぎなど

ニキビなどの原因にもなる便秘を防ぐ食物繊維
雑穀米など穀類、ごぼう、かぼちゃ、ブロッコリー、きのこ類、さつまいもなど

血液を体中に運ぶヘモグロビンの材料となる鉄分
レバー、ひじき、小松菜、大豆、しじみ、あさりなど

肌の細胞をつくるもとになるタンパク質
鶏肉、牛肉、豚肉、さば、あじ、卵、牛乳、大豆など

食材一覧のイメージイラスト

適度な運動

肌の健康のためには、運動不足やストレスも良くありません。
激し過ぎない適度な運動を生活に取り入れることで、血のめぐりが良くなり、肌の健康に必要な成分が全身に行き渡ります。運動することで、体もリラックスして、ストレスの解消にもつながります。

おすすめは、体に負荷のかかる激しい運動よりも、ヨガやウォーキング、ストレッチなど自分のペースでできる有酸素運動です。

質の良い睡眠

骨や筋肉の成長に関わる成長ホルモンは、皮膚の再生や修復にも関わっており、睡眠中に多く分泌されます。加齢とともに分泌量は減少するものの、一生分泌されるので、肌をすこやかに保つためには、質の良い睡眠を取ることもとても大切です。
成長ホルモンは、入眠後3~4時間の間の深い眠り(ノンレム睡眠)のときに分泌するとされています。
起床時間、入眠時間が毎日変わるなど、睡眠のリズムが乱れるとホルモンの分泌にも影響を与えます。光が出るスマートフォンなどを遅くまで寝室で見ることも、質の良い睡眠を妨げるため、避けたほうがいいでしょう。

毎日の保湿スキンケア

肌のうるおいを保つためには、スキンケアの基本を押さえて、毎日続けることが大切です。

〈スキンケアの基本〉
洗う
毎日の正しい洗顔で、肌を清潔にします。メイクを落としたら、洗顔料を泡立てて、やさしく洗います。顔を洗うときは、ゴシゴシこするなど摩擦で肌を傷つけないようにしてください。

補う
洗顔後は、肌に水分を補うために、保湿のためのスキンケアを速やかに行います。化粧水で水分を補い、乳液やクリームなどで水分が逃げないようにフタをします。

肌にはうるおいを保つバリア機能が備わっていますが、さまざまな要因で機能が低下することもあります。肌にとって大切な水分を毎日のスキンケアを補うことは、肌あれを防ぐという点からも心がけたい習慣です。


まとめ

肌のカサカサ、赤み、ニキビなど肌あれには、さまざまな原因が考えられます。
人間の体には、もともとは皮膚を健康な状態に保つための「バリア機能」が備わっています。
バリア機能が低下すると肌あれが起きるとされており、「ターンオーバーの乱れ」「ホルモンバランスの乱れ」「免疫力の低下」や、紫外線、大気汚染などが機能低下の要因となります。
肌あれを予防する方法として、栄養バランスのとれた食生活、適度な運動、質のいい睡眠、保湿スキンケアなど肌にいい習慣を心がけることも重要です。

原みずき先生プロフィール

原みずき先生

皮膚科医。都内のクリニックで勤務。自身が小児期にアトピーであったことから皮膚科医を目指した。女性の皮膚科専門医としてアトピーなどの日常的な疾患から、シミなどの美容皮膚科まで幅広く診療している。