2020.11.11

顔の赤みを抑える方法は?ニキビやかゆみ、大人の肌トラブル対処法

ドクターズコラム

顔に突然、目立つような赤みが出てくると気になってしまうものです。メイクをしてもうまく隠せず、テンションが下がってしまうこともあります。

「乾燥や肌あれとともに赤みやかゆみが出てきた」という人や「かゆみも痛みもないのに普段からよく赤みが出る」という人もいますが、いずれも敏感肌の人に比較的に多いようです。

実は顔が赤くなる理由は複数あります。外的要因、内的要因、年齢によるものなど複数の理由で人の顔は赤くなります。なぜ、顔は赤くなるのか理由を解説するとともに、肌をやさしくケアする方法を紹介します。


ニキビやかゆみ…顔の赤みに悩まされる大人の肌

最近は20代以降もニキビが出る人が多く、「大人ニキビ」という言い方も定着しています。そんなニキビや、乾燥、かゆみなど大人の肌トラブルはさまざまにあります。そして、肌トラブルと合わせて起こりやすいのが肌の赤みです。

多くの場合、赤みが出る理由は肌のバリア機能に関係しています。

赤みが出るメカニズム

肌の一番外側には「角層(角質層)」があり、外からの刺激や異物の侵入をブロックする一方で、体内の水分が損なわれることを防ぎます。

それを肌のバリア機能と呼びますが、その機能が低下すると、細菌やウイルス、花粉などの刺激や異物が肌に影響を与え、それらを防御しようと炎症を起こします。

そして、体は炎症を抑えようと、B細胞やリンパ球、免疫細胞などを血流とともに患部に送ります。その際に毛細血管が拡張し、0.2㎜という薄い表皮に透けて見えるために、私たちは肌が赤くなったと感じます。

敏感肌やニキビ・肌あれなどの肌トラブルの多い人は、毛細血管が恒常的に拡張するために、常に赤みが出てしまうということも起きます。

赤みが出るメカニズムのイメージイラスト


顔の赤みが出る原因

上述したとおり、皮膚の下の毛細血管が透けることで肌は赤く見えます。ではどのようなときに毛細血管が透けて見えやすくなるのでしょうか。炎症が起こる状況や、炎症がなくても赤く見える肌タイプなどについて紹介します。

ニキビや肌あれ

顔の赤みの原因として「ニキビ」や「肌あれ」があります。そして、ニキビも肌あれも角層が持つ肌バリア機能の低下と関係しています。

バリア機能が低下することで肌あれを起こし、余計な皮脂を分泌しようとし、その皮脂が毛穴につまって皮膚に炎症が起こります。

また、角層はターンオーバーにより常に新たな細胞に入れ替わっていますが、その周期が崩れてしまい、角層が固くなって毛穴を狭め皮脂をつまらせやすくします。

これらを繰り返すことで、赤みが定着してしまいます。最近ではマスクによってニキビが出やすくなったという人もいます。

マスクが肌に擦れることで角層が痛んでバリア機能が低下したり、マスクの中のムレによって汗や皮脂が増えたりすることが原因と考えられます。

マスクをした女性の画像

日やけ

よくある赤みの原因に日やけもあります。日やけはやけどをしている状態で、炎症により赤くなります。

日やけは赤くなるだけではなくさまざまな肌トラブルにもつながります。何度も紫外線による肌のダメージを受けていると、肌の水分が奪われカサカサになってしまいます。

さらに、外部からの刺激をシャットアウトしようと角層が肥厚した状態となり毛穴がつまってニキビが発生することもあります。

生まれつきや加齢

以上のようなはっきりした理由もなく、とくに肌に悪いことをしているわけではないのに赤いという場合があります。これは、先天的に皮膚が薄くて白いために、皮膚の下の毛細血管が透けているためです。

また、加齢により皮下脂肪が薄くなるため、以前はさほど赤くなかったのに、赤みが気になるようになったというケースもあります。

さらに、長年、肌が激しい気温差にさらされるうちに、毛細血管が拡張したままになってしまい、赤みが目立つようになることもあります。

皮膚炎

アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎などの皮膚炎を起こしているときも皮膚のバリア機能が低下して水分が逃げてしまってカサカサします。そして、炎症を起こして赤くなります。

・アトピー性皮膚炎…皮膚の炎症を伴い、湿疹やかゆみが現れます。
・脂漏性皮膚炎…髪の生え際や鼻の脇など、皮脂の分泌が多い部分がカサカサとして赤くなる湿疹が出ます。
・アレルギー性接触皮膚炎…一般的には「かぶれ」と呼ばれることが多くあります。アレルギーの原因物質などに触れることで湿疹性の炎症が起こります。

皮膚炎を起こしたときには皮膚科に相談することをおすすめします。

肌を掻く女性の画像

酒さ

さらに、顔の赤みが起こるもののまだ原因が不明だというものもあります。その一つが酒さ(赤ら顔)という皮膚の病気です。

酒さとは主に鼻やひたい、頬などに赤みが出て、ときには数時間から数日間持続します。

場合によってはヒリヒリとし、かゆみやほてり感が現れ、ニキビに似た発疹が突然現れることもあります。さらに、鼻瘤(団子鼻)が見られるようになります。

年齢、性別問わず起こりますが、ニキビやほかの皮膚炎と合併していることもあり、気づかれないままであることがあります。

なぜそうなるかは不明ですが、強い紫外線や大きい寒暖差、アルコール、化粧品、ストレスなどがきっかけとなることもあります。


顔の赤みを防ぐには?スキンケアと生活習慣の見直し

赤みが出やすい人は角層が乱れバリア機能が低下している可能性があります。そこで、角層をやさしくいたわるスキンケアを行い、さらには生活習慣を見直すことをおすすめします。

正しいスキンケアの方法

まず、肌に合わせた洗顔料やローション、美容クリームなどの化粧品を選ぶことが大切です。できることならば試供品を使ってから購入するようにします。また、肌で試す場合には、目立たない箇所から行うようにしましょう。

クレンジングや洗顔料で刺激の少ないものは、クレンジング力や洗浄力が低いものが多いのですが、丁寧なケアをすることでカバーをするようにします。また、使う際には適量を守るようにします。

そして、洗顔をするときには以下の点に注意します。

・お湯の温度は肌に負担が少なく、かつ皮脂が適度に落ちやすい30℃台前半程度のぬるま湯が適しています。
・肌に摩擦や刺激を与えずに、石鹸をよく泡立ててやさしく洗うことを心掛けます。
・洗いすぎも肌に刺激を与えることになるので注意しましょう。
・タオルで強めに拭くのは避けます。
・洗顔後にはできるだけ早く化粧水や乳液、パックなどで保湿をします。

丁寧な顔の保湿でうるおいを保てるようにします。そして、外出時には日やけ止めクリームなどを利用してUV対策を行います。

ただし、日やけ止めも強めのものは適さない人もいます。そういう人は帽子や日傘、サングラス、飲む日やけ止めを用いて対策しましょう。

ぬるま湯に触れている画像

顔の赤みを抑える生活習慣のポイント

また、バリア機能の低下の原因として、睡眠不足や不規則な食事、栄養の偏り、ストレスなども挙げられています。スキンケアとともに生活習慣を見直して、肌と体にいいことをしてあげたいものです。

肌のことを考えた生活の改善ポイント

・睡眠時間をしっかりととるようにします。
・リラックスタイムを設けてストレスを軽減させます。
・肌にいいビタミン類、ニキビなどの原因にもなる便秘を防ぐ食物繊維、肌の細胞をつくるタンパク質などが含まれたバランスのいい食事を心がけます。
・がんばりすぎない適度な運動で体の代謝を上げます。

さらに、ハウスダストなど、肌への刺激やアレルギーの元となるものを排除し身の回りを清潔に保つようにしましょう。湿度にも気を使い、加湿器を使うなどして乾燥を防ぐことも大切です。


顔の赤みが治らないときは皮膚科の受診を

ただし、スキンケアは肌の負担を減らしてあげるというもので、赤みを治すわけではありません。スキンケアを変えても、生活を見直してもなかなか赤みなどの症状が改善されないときや、肌トラブルの原因が分からないときは、けして自己判断はせず皮膚科医の診断を仰ぐようにしましょう。症状に合わせた治療が受けられ、処方薬を出してもらえることもあります。

診察を受けている画像


まとめ

大人ニキビや乾燥、かゆみ、そして赤みなど成人しても肌の悩みはさまざまにあります。肌が赤く見えるのは肌のバリア機能が低下し外部からの刺激を受けるようになり、刺激を受けた箇所に毛細血管が集中しているからです。また、肌の赤みが起こる原因としては、ニキビ、先天的なもの、皮膚の病気、乾燥などがあります。 少しでも赤みの予防をするためには、日ごろのスキンケアや、生活習慣の見直しが大切です。もし、肌をいたわってもなかなか赤みが改善されなかったり、原因がよく分からなかったりしたら、皮膚科を受診して医師の判断を受けるようにしましょう。

熊田朗子先生プロフィール

熊田朗子先生

なないろスキンクリニック(茨城県)院長。
荒木病院(石川県)美容皮膚科・皮膚科。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。
富山医科薬科大学(現 富山大学)医学部卒業後、金沢大学医学部皮膚科学教室入局。
石川県内の公立病院皮膚科勤務を経て、都内、千葉県、茨城県で美容皮膚科の研鑽を積む。
茨城と石川を往復しながら、患者さまのライフスタイルなど幅広い視点から、美しい肌を手に入れる治療法を提案している。スキンケアや栄養指導も重視している。

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