2020.11.18
肌の赤みの原因は肌あれ?予防や改善のためのスキンケア
ドクターズコラム
肌の赤みの原因はさまざまあり、日常的に頻繁に赤くなるという人もいます。しかし、短時間ならばいいのですが、持続的に顔が赤いとどうしても気になってしまいます。
すっぴんで出かける気持ちになれず、メイクである程度は肌色をコントロールしようとすると、あまりにも厚塗りメイクを繰り返すとそれはそれでお肌の負担になる可能性があります。
なぜ、肌の赤みは出てくるのでしょうか。また、毎日のケアで対処することはできないのでしょうか。
今回は肌の構造から赤みを引き起こす原因まで解説していきます。また、赤みが出やすいときに自分で手軽にできるケアの方法も紹介します。
肌に赤みが出るのはなぜ?肌の仕組み
肌の赤みの原因は肌のバリア機能とも関係しています。
肌の一番外側にはわずか0.02mmの「角層」があります。角層の表面にはうるおいを保つ皮脂膜があり、さらに角層自身には天然保湿因子の細胞があります。そして、その角層が外部の刺激から肌を守り、肌内部の水分を逃がさない役目をしています。ところが、この角層が乾燥などで乱れるとバリア機能が低下します。
バリア機能が低下することで外部からの刺激を受けたり、異物の侵入を許してしまったりした肌は防御のために「炎症」を起こしやすくなります。そして、炎症を抑えるためにB細胞や免疫細胞、リンパ球などを患部に送り届けようとして、皮膚の下の毛細血管が一時的に拡張します。その際、表皮は0.2mmという薄さのため、毛細血管が透けて赤く見えるのです。
肌に赤みが出る原因は?炎症や毛細血管拡張など
ここからは、具体的に肌の赤みがどのようなことで起こるのか解説します。上記のようなバリア機能の低下と関わっている場合のほか、先天的な理由もあります。
肌の炎症
上述したように、バリア機能が低下して外部刺激や異物に突破されてしまうと、免疫反応として炎症が起こり、毛細血管が拡張することで赤みが生じます。
男女問わず多いニキビも炎症が起こっている状態です。肌が乾燥をすると皮脂を多く分泌しようとするうえ、肌のターンオーバーが崩れて角層が固くなることで、毛穴に皮脂・老廃物が詰まってしまいます。すると、皮脂の常在菌の一つであるアクネ菌が増殖してしまい、免疫が働いて炎症を起こします。ニキビがひどくならないように、早めの治療が大切です。
毛細血管拡張
肌トラブルはなくなったはずなのに肌の赤みが持続し、赤ら顔になる場合があります。それは、肌トラブルを繰り返すうちに、毛細血管が拡張したまま戻らなくなるからではないかと考えられています。
また、毛細血管の拡張した状態だと顔に赤みが出るだけではなく、肌の水分が逃げやすくなるとも考えられています。
毛細血管を広げないためには、炎症が起こっている原因を探り、繰り返さないようにすることが大切です。
肌への刺激
肌のバリア機能を低下させ赤みを生じさせる刺激には、外からの刺激と、体の内にある要因の両方があります。
外からの要因
・紫外線
・花粉
・ハウスダスト
・衣服の摩擦
・寒暖差、湿度の変化
・顔のこすり洗い
・美顔器や痩身グッズの使用
内にある要因
・ストレス
・ホルモンバランスの変化
・病気
・睡眠不足
また、アトピー性皮膚炎のときにも、肌のバリア機能が低下しています。そして、外部からの刺激によって炎症が起こり、かゆみが生じます。
かゆみがあると思わずかいてしまうこともありますが、角層を痛めてバリア機能の低下を引き起こし、さらに、かゆみを引き起こすヒスタミンという物質の分泌を誘発してしまいます。そして、よりかゆくなるという悪循環が起こるため注意が必要です。
肌のうるおい不足
また、バリア機能が低下する大きな原因の一つが肌のうるおい不足です。秋冬の乾燥や、夏の冷房、そして日やけなどにより、肌は乾燥してしまいます。
バリア機能が低下したことで肌トラブルが起こるようになり、その一環として肌に赤みが出るようになります。
だいたい湿度50%~60%が肌に適度な湿度とされていますので、乾燥する季節には加湿器を使用し、季節ごとの肌のお手入れを行い、うるおいを保てるような工夫が必要です。冷房も熱中症に気を付けながら、あまりにも涼しいと感じたときには消すようにするとよいでしょう。
肌の赤みを抑えるためにできるスキンケア
肌のうるおい不足があるとさまざまなタイプの肌トラブルが起こりやすく、赤みを引き起こしていきます。そこで、毎日のスキンケアの中で、肌のうるおいが逃げないようにしてあげることが大切です。ここからは、うるおいのためのスキンケアについて紹介します。
スキンケアの方法
肌のうるおいを保つケアとしては、まず、大切なのが洗顔です。肌をごしごしこすらず、洗顔料をよく泡立てて洗うようにしましょう。タオルで顔を拭く際にも、やわらかなタオルを使って優しく顔に当てるような感じで水分をとります。
そして、洗顔後にはできるだけ早く保湿を行います。化粧水をつけた後は乳液でうるおいを逃がさないようにし、うるおいが足りないときには保湿パックをするようにします。ただし、頻回のパックは肌に負担になるので控えましょう。
最近は化粧下地にもなる日やけ止めクリームもあり、外出時には利用することが多くありますが、その際も低刺激のものを選ぶとよいでしょう。また、塗る日やけ止めでかぶれてしまう、汗ですぐに取れてしまう場合は、飲む日やけ止めを用いてもよいでしょう。日傘、帽子などを使って、日やけ止めだけに頼らない対策も大切です。
もし、日やけをして肌が赤くなってしまったら、軽いやけどをしたときと同じように、すぐに冷やすようにしましょう。それでも改善しない場合には、皮膚科を受診しましょう。
また、体調不良も肌に影響がありますので、短い睡眠時間などの生活習慣における不摂生は治すようにしたいものです。食べ物はビタミンなどの栄養のバランスを考えるようにし、ストレスも溜めないことも大切です。
肌の赤みの治療は皮膚科で行う
肌トラブルの予防は毎日のスキンケアでもある程度は行えます。しかし、なかなか改善がなく症状が治まらない場合や、赤みが出た理由が分からない場合も多くあります。そんなときはどうしたらよいのでしょうか。
ニキビなどの炎症がひどい場合は皮膚科へ
もし、炎症がひどい場合は自己判断をせずに皮膚科に行くことをおすすめします。皮膚科のクリニックで行うことができる治療もあり、適した薬の処方をしてもらうことができます。肌に赤みが出てなかなか収まらない場合、医師でなくては判断できない疾患がある可能性もあります。
ニキビができた場合も、早めの皮膚科への受診をおすすめします。白ニキビや毛穴詰まりなど、炎症がひどくない段階でも皮膚科的治療を開始するのがベストです。
素人判断でケアをしようとして、触ったりつぶしたりしてしまうと、雑菌が入ったりニキビ跡が残ったりしてしまう場合もあります。
まとめ
肌の一番外側には、外部からの刺激を避け、肌の水分が蒸発するのを防いでくれる角層があります。角層が乾燥などで乱れると、肌のバリア機能が低下してしまいます。そして外部からの刺激や異物により肌が炎症をおこし、それが赤みへとつながります。赤く見えるのは肌の下の毛細血管が拡張しているからですが、その拡張が続くと、肌の赤みも収まりにくくなります。
肌のケアのためには、低刺激の化粧品を使い、肌に優しい洗顔や保湿を心がけるようにします。さらにストレスや睡眠不足を招かないようにし、体を中からケアしてあげることも大切です。
しかし、それでも気になる肌のトラブルがある場合には、自己判断はせずにすぐに病院で受診することをおすすめします。
熊田朗子先生
なないろスキンクリニック(茨城県)院長。
荒木病院(石川県)美容皮膚科・皮膚科。
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。
富山医科薬科大学(現 富山大学)医学部卒業後、金沢大学医学部皮膚科学教室入局。
石川県内の公立病院皮膚科勤務を経て、都内、千葉県、茨城県で美容皮膚科の研鑽を積む。
茨城と石川を往復しながら、患者さまのライフスタイルなど幅広い視点から、美しい肌を手に入れる治療法を提案している。スキンケアや栄養指導も重視している。