コーセー研究所 スキンケア製品研究室　岩田 遵拓ちかひろ

PROFILE
2019年 株式会社コーセーに入社。入社当初から現在に至るまでスキンケア製品研究室に所属。クレンジングや洗顔などのクレンズ製品からボディクリームや日やけ止めなど、担当製品は多岐にわたる。
化粧品研究の道を志したきっかけは、自身 のお姉さんが成人式の前日にニキビができてしまって悲しんでいる姿をみて、すべての人の肌悩みを解消したいと思ったこと。トライ＆エラーを重ねながらも攻めた処方を探求し、社内外から高い評価を得る製品を次々と開発している。

カルテHD　モイスチュア フェイス&ボディクリームの開発のきっかけは

「カルテＨＤ　モイスチュア バームのようなしっとり感と密閉感の高いフェイスにもボディにも使えるクリームを開発をしてほしい」

と企画から依頼を受けたことです。

カルテＨＤ　モイスチュア バームは部分的に使うものなのでピタッとした密着感としっとりとした密閉感がありますが、ボディにも使うとなると“なめらかで心地よいのび広がり”を兼ね備えることが必要です。

さらに、心地よく使えるためには “使用後のべたつきのなさ”も必要となります。

「うるおいを守る密閉感」「なめらかなのび広がり」「使用後のべたつきのなさ」は両立することが難しい、いわゆる“トレードオフ”の関係で、すべてを叶えるためにはどうすればよいか、というのが最大の課題でした。

カルテHD　モイスチュア フェイス&ボディクリームには

✓ 肌なじみよいオイル
✓ のび広がりのよいオイル
✓ 密着性の高いペースト状のオイル

の3つのカテゴリーのオイルを配合しています。
これらのオイルの種類や配合比率を細かく調整し、うるおいを守る密閉感となめらかなのび広がり、使用後のべたつきのなさのベストバランスを探しました。

カルテHD　モイスチュア フェイス&ボディクリームの開発には、とにかくたくさんサンプルを作りました。開発段階のサンプルはひとつひとつ手作りのため、腕がクタクタになるまでサンプルを作り続けたことを思い出します（笑）。

カルテHD　モイスチュア フェイス&ボディクリームに応用した技術として“αゲル構造”があります。αゲル構造とは水と油がミルフィーユのように層状に重なった構造で、乳化安定剤が油と水のミルフィーユ構造へ “杭”を打つように支えています。

αゲル構造はのび広げるときの圧力で構造が崩れるため、スーッとなめらかにのび広がります。さらに、αゲル構造は乳化状態を安定に保ってくれるため、乳化のために使用する界面活性剤の配合量を抑えることができます。
界面活性剤の配合量が少ないと使用後のべたつきは抑えられるので、のび広がりのよさと使用後のべたつきのなさを叶えることができました。

手にだしたときはこっくり濃厚なクリームなのに、のばすと驚くほどなめらか。塗布後はしっかりとした保護膜感はあるのにべたつきはない、という“トレードオフ”の関係を解消できたのは、カルテHD　モイスチュア フェイス&ボディクリームの主成分であるオイルのベストバランスに調整できたことと、そしてαゲル構造の技術を応用したからです。

これはまさに唯一無二の“点の処方”といっても過言ではないと思います。

この“点の処方”を作り出すことができたのは、私だけでなくカルテHD　モイスチュア フェイス&ボディクリームの企画や開発に関わるすべての社員が「お客さまに心地よくお使いいただける」ということを念頭にものづくりを行ったからだと思っています。

私が提出したサンプルに対しても、企画開発から「もっとこういう風に改良してほしい」とＮＧが出て、意見交換をしながら、誰一人として妥協することなく徹底的にお客さま目線でものづくりを極めることができたため、ここまでよい品質を作りあげることができたと思います。正直、ちょっと心が折れそうになったこともありましたが……（笑）。

開発に関わった社員すべてのやさしさと想いがこめられたカルテHD　モイスチュア フェイス&ボディクリーム。
心地よいのび広がりと塗布後のべたつかないのにしっとりとした保護膜感をぜひお試しください！