2020.12.16

【パパ&ママ必見】赤ちゃんの保湿対策、どうすればいいの?

ドクターズコラム

「赤ちゃんのような肌」といえば柔らかくてキメ細かい、理想の美肌のような意味合いで表現されますよね。ですが実際の赤ちゃんの肌は、とてもデリケート。保護者がきちんと保湿ケアをしてあげる必要があります。

健やかな赤ちゃんの肌を守るために、赤ちゃんの肌のメカニズムから保湿のノウハウまで、パパ&ママに参考にして頂きたいスキンケア情報をお届けします。


赤ちゃんの肌はどんな状態?

モチモチした赤ちゃんの肌は、一見とてもうるおっているように見えますが、実はとても乾燥しやすいことはご存知でしたか?まずはそんな赤ちゃんの肌状態についてご説明します。

新生児は皮脂が多い

生後4週目ぐらいまでの、いわゆる新生児の肌は「胎脂」という肌を保護する成分で守られています。胎脂は妊娠6ヶ月頃から赤ちゃんの体を覆いはじめ、おなかの中の赤ちゃんの皮膚を守り、スムーズな分娩のサポートもしてくれます。
さらに生まれてしばらくの間は引き続き赤ちゃんの肌を保護し、乾燥や感染などから守ってくれる、大切な「天然の保湿成分」なのです。

また、新生児期は一般的に皮脂の分泌も多いのですが、そのため乳児脂漏性湿疹などが起きることもあります。たいていの場合、石けんで丁寧に洗浄していけば自然に治りますが、症状がひどい場合は小児科や皮膚科を受診することをおすすめします。

新生児の画像

生後2~3ヶ月は乾燥しやすくなる

天然の保湿成分に守られていた肌も、生後2~3ヶ月になると胎脂が落ちていき、皮脂の分泌も落ち着いてきます。
すると水分を保持しにくくなった肌は、今度は乾燥しやすくなってくるのです。そもそも乳児の表皮の厚みは、個人差もありますが一般的に成人の2分の1ぐらいしかありません。そのため外部刺激には敏感に影響を受けやすく、乾燥によりバリア機能が弱まることで、さらに肌トラブルにつながりやすくなってしまいます。

また、赤ちゃんは発汗量も多く、放置するとあせもなどの原因にもなります。 従って、洗浄などで清潔さを保つことと保湿ケアをすることがとても大切です。

赤ちゃんの乾燥肌の症状は?

赤ちゃんの肌は、水分量は大人の3分の2程度、皮脂は大人の約半分ともいわれており、保湿力が低く、ダメージを受けやすいと考えてください。以下のような状態を感じたら、乾燥肌が疑われるサインです。

■肌がカサついている
肌を触ってみてザラザラ、カサカサ感を感じたら、バリア機能がうまく働かず水分が逃げてしまって、乾燥気味になっているサインです。

■赤みが出ている
肌が炎症を起こしている状態です。保湿だけだと沈静化が難しいこともあり、また、乾燥以外の原因も考えられますので、小児科や皮膚科の受診をおすすめします。

■乾燥性湿疹が出ている
乾燥によるバリア機能の低下で、上記のような赤みのほか、かゆみも生じたりします。乾燥した肌はデリケートになっており、衣類やオムツの締め付けや摩擦、急激な温度変化や乾燥した外気などの外部刺激などが主な原因で発症します。症状が見られたら小児科や皮膚科で診てもらうようにしましょう。

赤ちゃんの肌トラブルの画像


赤ちゃん用保湿剤の種類

赤ちゃんの肌が乾燥しやすい理由をお分かり頂けたでしょうか?
乾燥を防ぐ赤ちゃん用の保湿剤もいろいろ出ているので、それぞれの特徴を知って上手に使い分け、ケアしてあげてください。

ローション

水分の多い化粧水や乳液のようなテクスチャーのタイプです。
サラサラした使用感で、薄くのばしたり広げやすいので、急いでいるときに使いやすく、暑い季節なども快適に使用できます。

クリーム

ローションよりも保湿成分の比率が高い分、保湿力が高いです。体全体にも使えますし、特に乾燥が気になる顔全体や口元、頬などにポイント使いすることもできます。

オイル

ボディオイルは肌に薄い膜を張って保護し、表面から水分を逃さない特徴があります。保湿ケアだけでなく、オムツ替えのときの汚れの拭き取りに使ったり、耳や鼻などの汚れ取りに使ったりと、いろいろなケアに使えますので、ひとつあると便利なアイテムです。

スプレー

クリームやオイルより保湿力は下がりますが、短時間に広い範囲に使えるので、忙しいとき、赤ちゃんが動き回るときなどにも手早く使えて便利です。ただし脇の下や首筋など、塗り漏れしやすい箇所が出てくるケースがありますので、注意してください。

選ぶときに重視したいポイントは?

このようにいろいろなタイプのある保湿剤。どのように選べばよいか迷ったときは、以下のポイントを重視してください。

■低刺激であること
デリケートな赤ちゃんの肌のためには、できるだけ刺激が少なく、合成界面活性剤や合成防腐剤、香料、着色料などの添加物が入っていない製品を選びたいものです。その意味では大人が使っているアイテムをそのまま使うことは極力避け、赤ちゃん用の製品を選ぶようにしてください。

また、オーガニックなども植物の成分がアレルゲンになることがありますので、医師で診断を受けてから購入することをおすすめします。

■使いやすいこと
赤ちゃんは動き回りやすいですし、お母さんはとても忙しいもの。片手で開け閉めできたり、持ち運びしやすいなど、TPOに合わせて使いやすいタイプを揃えておくと安心ですし、ママのストレス軽減にもつながります。

■季節に合わせる
皮脂や発汗の多い夏はローションタイプでさっぱりと、乾燥が進む冬はクリームやオイルタイプでしっかり潤すなど、季節や肌状態によって使い分けるのがおすすめです。

季節ごとの保湿使い分けのイメージイラスト


保湿はこまめに!乾燥対策のポイント

ここでは保湿剤の使用量や使うべきタイミングなどについてご説明します。赤ちゃんは大きさや体質などそれぞれ個性がありますので、よく状態を観察しながら自分なりにケアをアレンジするようにしてくださいね。

保湿のコツ

■保湿剤の量は?

ローションなのかクリームなのかなど、タイプによって適量は違ってきます。また、赤ちゃんの肌状態や体の大きさによっても変わってきますが、まず目安として一円玉程度の量を使ってみましょう。
触ってしっとりする感じがあればいいですし、足りない感じがすれば、少しずつ足していってみてください。

■塗り方のコツは?

保湿剤を赤ちゃんの顔や体に何カ所か置いたら、手のひらで優しくくるくるなでるように塗り広げてください。保湿剤はゴシゴシすり込んでも浸透はしません。肌表面に優しく膜を作るようなイメージで広げていきましょう。コットンではなく人の手で塗る方が肌になじみやすく、おすすめです。

保湿剤は全身にほどこしてください。特に顎下や首、手のひらなども忘れずに。 さらに乾燥しやすい頬や口周りなどは、必要を感じたら重ねづけしてください。

皮膚にもキメがあり、キメに沿って保湿剤が入るように塗るのがコツです。例えば腕や下肢の場合は腕や脚の長軸方向にただ塗るのではなく、優しくつかんでクルクルと付け根から指先に向かってマッサージをするように回しながら塗っていくとよいです。

赤ちゃんに両手で保湿剤を塗る画像

保湿のタイミングは?

■起床時
朝に保湿することで、一日のバリア機能を強化して乾燥予防が期待できます。寝汗などはきちんと拭き取って、清潔な肌に保湿ケアをするようにしてください。

■お風呂上がり
汚れとともに皮脂が洗い流されている状態なので、タオルドライした後なるべく早め、できれば入浴後5分以内ぐらいには保湿するようにしてください。

■外出の前後
紫外線は肌の乾燥を招くため、外出前には乾燥予防として、外出後はアフターケアとして保湿してあげてください。外出後は汚れや汗をふきとった後にケアしてあげてくださいね。

■オムツ替えのとき
オムツかぶれを防ぐためにも保湿ケアは有効です。皮膚のシワ部分もしっかり保湿剤を塗りこんでください。

■顔や体の汗を拭いたり、食事のあとに口元を拭いたら
拭き取りのあとは摩擦で肌が乾燥しやすいため、保湿ケアで補ってください。

赤ちゃんの口を拭く画像

赤ちゃんの健やかな成長のためには保湿ケアが欠かせないことをご説明してきました。赤ちゃんにとって安心なタイプの保湿剤を、適切なタイミングで使うことが何より大切です。 また、トラブルを感じたら躊躇せずに医師のアドバイスを受けることも覚えておいてくださいね。

川崎加織先生プロフィール

川崎加織先生

皮フ科 かわさきかおりクリニック院長。医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本抗加齢医学会専門医。兵庫医科大学・皮膚科医局員からキャリアをスタートし、明和病院勤務、西宮わたなべ前浜クリニック院長などを経て、現クリニックを開院。皮膚科専門医として、女性医師として、母として、患者さんの心と身体に寄り添うことを信条としている。スノボやゴルフもたしなむ活動派。

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