2020.11.25

大人のニキビ、実は乾燥が原因のことが多かった!効果的なケア方法とは?

ドクターズコラム

さまざまな肌トラブルのなかでも、とりわけやっかいなのが突然ポツンとできてしまったニキビ。お化粧でもごまかしにくいし、憂鬱のタネですよね。
成人女性にできる大人ニキビ、実は若いころにできるニキビとは原因と対処方法が違って、乾燥が最大原因であることが多いのです。だからこそ間違ったケアをしないように注意が必要です。
今回は、そんな大人の乾燥ニキビについて、ご説明していきます。


乾燥肌はニキビの原因にはならない?答えはNOです。

肌タイプを「乾燥肌」「脂性肌(オイリー肌)」「混合肌」と分類されていることはよく目にしますよね。ニキビができてしまうのは自分が「脂性肌」だから。そう思いこんでいる方がけっこう多いのではないでしょうか。

ところが、大人になってからできてしまうニキビの場合、実は乾燥が原因になっていることもあるのです。そのメカニズムを解説していきます。

乾燥ニキビの原因

まず覚えておきたいこと、それは10代の頃にできるニキビと、大人になってきてからできるニキビは、多くの場合、その原因やメカニズムが違うことです。原因を正しく知ることが、正しい対処ができることにつながります。

思春期ニキビともいわれる、若い頃のニキビは、多くは過剰な皮脂分泌によって毛穴が詰まってしまい、そこにアクネ菌などが繁殖してしまうことが主な原因。

一方で、大人になってからできてしまうニキビについては、実は乾燥が原因になっていることも少なくありません。

もう少しメカニズムを説明しましょう。
肌が乾燥すると、一定のサイクルで細胞が生まれ変わる肌のターンオーバーの乱れが生じます。そうすると正常に剥がれ落ちなかった角層が硬化したり、乱れが生じることで肌あれになってしまって、毛穴をふさいで炎症を起こしてしまうのです。これが大人ニキビの主な要因です。

肌の乾燥は精神的ストレスや寝不足、栄養不足や紫外線などの刺激でバリア機能が弱まってしまうことで起こることもあります。

思春期ニキビの原因の多くは「皮脂の過剰分泌」。一方で大人ニキビの場合は「乾燥」が原因になることも。この違いを知っていないと、ケアを間違えることがありますので要注意です。

思春期ニキビと乾燥ニキビの違いのイメージイラスト

ニキビができやすい場所

できてしまったニキビの原因が乾燥によるものなのか?ニキビの場所をチェックすることは、原因を見分ける方法のひとつです。

思春期ニキビと乾燥ニキビができる場所のイメージイラスト

■思春期ニキビの場合:額や鼻筋、小鼻の脇など、皮脂の多いTゾーン中心にできやすい
■乾燥ニキビの場合:頬やあごのライン、口周りなど、乾燥しやすい部分にできやすい

乾燥ニキビは、外気が乾燥しやすくなる冬はもちろん、エアコンの影響を受けやすい夏、花粉症によるかゆみで掻いてしまうことにより肌のバリア機能が弱くなりがちな春、そして生理中、あるいは生理前後などでホルモンバランスが乱れやすい時期にも起こりやすくなります。結局のところ、乾燥によるニキビには時期を問わず保湿対策が必要ということなのです。


乾燥ニキビを防ぐためには

「ニキビができてしまったら、よく洗顔をし、油分の補給は軽めにする」
そう考えてしまいがちですが、これは思春期ニキビの場合の対処方法です。乾燥が原因の場合はケアの考え方が違ってきますので、ご注意くださいね。

洗いすぎに注意

目安として、洗顔後に肌のつっぱり感を感じる場合は皮脂の取りすぎといえるでしょう。乾燥ニキビを防ぐための洗顔には2つの大切なポイントがあります。

■過度な洗顔で皮脂をとりすぎない。バリア機能の低下にもつながります。
■洗顔中、タオルでの拭き取り中など、いずれのスキンケアプロセスでも摩擦は徹底的に避ける。

具体的な方法としては、以下のようなことを心がけてください。

■水分の蒸発による肌乾燥を避けるため、熱いお湯ではなく常温かぬるま湯ですすぐようにする。
■洗浄力が強すぎる洗顔料は避ける。たとえばオイルクレンジングは脱脂力が強いので、乾燥ニキビが気になるときには使わない方がよい。
■こすりすぎないよう、洗浄剤を十分に泡立てて、たっぷりの泡で優しく肌の上を転がすように洗う。
■洗顔料が残るとそれが刺激となり肌のバリア機能をそこなう可能性があるので、しっかりとすすぐ。
■拭き取りのときに、タオルは優しく押さえて水気を吸い取るように使う。ゴシゴシこする使い方はNG。

たっぷりの泡を手に乗せた画像

保湿ケアを十分に行う

「ニキビを防ぐためには、とことん脂質を取り除かないと」
こういった考え方で、洗顔後の油分補給などの保湿ケアを軽めにしてしまうのは、乾燥ニキビの予防、改善方法としてはとても危険です。

特に夏場など汗と湿気で肌がベタベタしがちな季節は、「肌はしっとりしているから、これ以上保湿ケアを重ねるのはやめよう」と思ってしまいがちで、たとえば洗顔後は化粧水だけでサッパリとすませてしまう方もいるかもしれません。ところがそういった方法だと、肌の水分がすぐに逃げてしまって乾燥肌になってしまい、ひいては乾燥ニキビの発生につながってしまうことも多いのです。

季節にかかわらず保湿ケアをすること、特に化粧水で水分補給したあとは乳液やクリームなどで水分蒸発を防ぐことを、1年を通じて心がけるようにしてください。

十分な栄養と睡眠をとる

大人ニキビの大きな要因、乾燥を防ぐためには、肌のターンオーバーやバリア機能を健全に保つことが大切なことはお話してきたとおりです。そのためには、スキンケアだけではなく、バランスの取れた食生活や質の良い睡眠も大切な要素です。

栄養がかたよったり、睡眠量や睡眠の質が不足すると、肌の状態にダイレクトに響いてターンオーバーの悪化やバリア機能の低下などにつながります。肉や魚、野菜、主食などをバランスよく摂ること、糖質過多にならないようにすること、毎日6~8時間の質の良い睡眠を取ることを心がけてください。

※ニキビと生活習慣の関係についてより詳しく知りたい方は、「適切なスキンケアでニキビを治そう!ニキビでお悩みの人必見のスキンケア方法」(https://www.kose.co.jp/eterna_agingcare/skin_care/skincare32.html)もご覧ください。


できてしまった場合のスキンケア

乾燥ニキビの予防には、保湿が最重点事項ということはお分かり頂けましたか?でも、注意していたのにできたしまったニキビに対しては、どう対処をすればよいのでしょう?
できるだけ早く改善するためのノウハウについて、ご説明します。

ニキビ肌用に基礎化粧品を見直してみる

乾燥ニキビが疑われる場合は、ティーンエイジャーが使うような皮脂に対して作用するニキビ対応コスメではなく、保湿力によって改善をめざすタイプを使うのがよいでしょう。その上でニキビができやすい場合は、基礎化粧品を見直してみることもひとつの方法です。 大人ニキビに対応するスキンケアアイテムも、いろいろ出ています。たとえばノンコメドジェニックなどもひとつの選択肢です。

ノンコメドとは、コメドができにくいということ、そして「コメド」とは、ニキビの第一段階とされる非炎症性の皮疹のことで、毛穴の中に細菌・皮脂・角質などが詰まって「白ニキビ」になっている状態、つまりニキビの初期段階のことを指します。
また、敏感肌用コスメなど、肌へ低刺激なものを選ぶのもよいでしょう。ニキビ肌用の医薬部外品も、信頼性の意味ではよい選択です。

気をつけたい成分のひとつがアルコール。さっぱり感があるので特に夏場などは使いたくなりますが、水分が揮発しやすいことで保湿性の意味では使用するタイミングなどで少し注意が必要です。また、アルコールが炎症の刺激になる場合もありますので、ニキビが発生してしまった後の場合は、やはり慎重に使用すべきです。

また、ニキビにとって、触れたりつぶしたりする物理的な刺激は悪化や跡が残ったりするリスクがあり、絶対に禁物、ということを肝に銘じてくださいね。

どんな基礎化粧品が自分の体質、症状に合うのかは個人によって違います。心配な場合は皮膚科クリニックなどで医師に相談することをおすすめします。

ニキビに触れるのを禁止するイメージイラスト

日やけ対策をしっかりする

紫外線は多くの肌トラブルの元凶なのですが、乾燥ニキビにとっても同様です。角質にダメージを与え、バリア機能の低下につながり、乾燥ニキビの発生にもつながります。だからこそ、紫外線対策はスキンケアの基本になります。

紫外線の脅威には、夏のみでなく1年中さらされます。年間を通じて正しく日やけ止めを塗ったり、外出時は帽子や日傘などで紫外線を遮るケアをすることを、季節にかかわりなく心がけてください。

※日やけ止めについて詳しく知りたい方は、「紫外線から肌を守る」(https://www.kose.co.jp/jp/ja/kirei/uv-care/step2/index.html)もご覧ください。

ニキビに触れるのを禁止するイメージイラスト

ニキビは、あやまったケアによって悪化することも少なくない疾患です。成人女性の場合はまず乾燥ニキビを疑い、保湿を心がけることが何よりも大切です。
正しい予防とケアで、対処してくださいね。

川崎加織先生プロフィール

川崎加織先生

皮フ科 かわさきかおりクリニック院長。医学博士、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本抗加齢医学会専門医。兵庫医科大学・皮膚科医局員からキャリアをスタートし、明和病院勤務、西宮わたなべ前浜クリニック院長などを経て、現クリニックを開院。皮膚科専門医として、女性医師として、母として、患者さんの心と身体に寄り添うことを信条としている。スノボやゴルフもたしなむ活動派。

お気に入りに追加する